語頭重子音(onset geminate)がある
日本語の/ippai/のppのような同一子音の連続は重子音と呼ばれます。日本語の場合もそうですが,通言語的に見て重子音は語中によく生じ,語頭に生じることは非常に稀です。ところが,伊良部島方言をはじめとする宮古語では語頭の重子音がかなりよく見られます。この例の/ffa/ [fːa]「(誰かの)子」にとどまらず,/mma/ [mːa]「母」,/nnucɨ/ [nːutsɨ],/vva/ [ʋːa]「おまえ」,/žža/ [z̞ːa]「父」,/rra/ [ɭːa]「胎盤」,/ssam/ [sːam]「しらみ」など,共鳴音/m, n, v, ž, r/と無声阻害音/f, s/が語頭重子音を形成できます。